ファッション

2009.05.10 第8回文学フリマ発行
コピー/A5/64頁/200円/表紙 ハンマートーン(深紅)
 自傷癖のあるモリヤの前に現れた、紅い瞳の正体不明の男。新宿マルイワンのアリスアウアアの試着室から、霧のように消えたという。
 モリヤは警戒し、モリヤの妹・未遠はひたすらに怯えるが、男はゴスロリ・サークルで退廃ごっこを楽しむ人々に紛れ込み、熱烈歓迎される。
 吸血鬼がテーマのアンソロジー『吸血綺譚』のために書いた中篇 →立ち読み

 あとがきにも書いたことですが、私がヴァンパイアを書くにあたっていちばん影響を受けたのは雪区羊介氏の『境界線上の少年』だと思います。作中で借用した「クリムゾン・ヘヴン」という言葉もそうですが、何よりヴァンパイアの「生前の信仰心の深さが、吸血後ホーリーシンボルへの禁忌につながる」という設定は『境界線上の~』のものです。ヴァンパイアの特性としてあまりにも魅力的かつ説得力があったため、ほとんど無意識のうちに構想に組み込んでいました……(ちなみに、自費出版の本です)。
 フィクションには色々なタイプのヴァンパイアが存在しますが、私は最も有名な吸血鬼であるドラキュラ伯爵をベースに、「ヴァンパイア」という単語から人々が思い描く最大公約数みたいな、いわゆる「王道」のヴァンパイアを目指してキャラクターを構築しました。実際は……どうだろう……

 ただ、『吸血鬼ドラキュラ』のドラキュラ伯爵は思った以上にワイルドだったので(笑)、ちょっと『ポーの一族』や「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」の耽美路線にイメージを寄せてしまいましたが。
 これを書くために初めて『吸血鬼ドラキュラ』をちゃんと読んだんですが、やはり相当引きずられました。当初書こうとしてたのはこんな話ではなかった気がする……。ヴァン・ヘルシング教授がかっこよくて、私もハンター出して討伐モノ書きたい! とか思ったし(笑)実際ハンターはうっかり出してしまったし(……)
 ファンタジーを普段ほとんど書かないので、新鮮で楽しかったです。
 辻褄を合わせようとうんうん唸っていた部分が、「吸血鬼は霧に変身できる」というのを知って一瞬で解決したときなど、ファンタジーって素晴らしいと思いました(笑)
 キャラクター設定も久しぶりで頑張りました。銀髪に紅目の美形などという中学生のときにも自重した設定のキャラを堂々と書けたのも楽しかった……
 本当は、アンソロジー『吸血綺譚』掲載用に書いた作品なのですが、諸事情により本誌の発行が遅れているため、このようなかたちで発表してしまいました……。あくまで応急処置です。
 大幅に遅れてしまってはいますが、何とか発行できるよう現在執筆メンバーで協議中です。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、どうぞアンソロジーの方もよろしくお願い致します。