/ 3月 6, 2019/ 映画, 舞台

マクベス
ナショナル・シアター・ライブ
2019.2.19 TOHOシネマズ日比谷

※記事中で物語の展開および核心部分に触れます

 ナショナル・シアター・ライブの「マクベス」を観てきました。
 2017年の「三文オペラ」をはじめて観て以来、定期的にNTLを観て「これが……英国演劇……!」と圧倒されているのですが、シェイクスピアだともうほんとうにひれ伏すしかないな……という感じでした。なんかもう力というか圧がすごい。スクリーンで観てもめっちゃ咀嚼力が要るし、体力使う(でも、英語話者に生まれかわって英国で生観劇したい……ともいつも切実に思います)。

 とにかくマクベス役のロリー・キニア氏がすごくて……「三文オペラ」もマックを演じていた役者さんで、途中から「言われてみればそうだったかも……」と面影を思い出しました。個人的にはマクベスのほうがよかった気がします(正直、その後KAATで観た「三文オペラ」の松岡充くん演じるマックのほうが、誑かされる女たちの気持ちはわかったんだよな……邪念とか先入観とか十代からの思い入れとかバイアスかかりまくりだけど……)
 声がものすごく素敵だった……!
 あとはバンクォーがかっこよかったのと、右腕のない侍女が印象に残りました。不自由な腕でマクベス夫人の背中をさすろうとする仕草がとても痛ましく見えた。
 荒野の三人の魔女たちも魅力的でした。衣装やメイクなどヴィジュアルも三者三様にかっこよかったし、発声や動きも人間離れしていてとてもよかったです。

 舞台は核戦争後の近未来を想定しているということでした。中央の大きなアーチで空間を仕切ってあって、そんなに複雑なセットではなかったと思うんですが、盆がよく回っていたせいかカメラワークのせいか、映像だとちょっと全貌がわかりにくかったな。
 ゲリラの戦闘員やテロリストを思わせる衣装をまとって、「領主」「王」「城」といった語や時代がかった言い回しの台詞を言ってもあまり違和感がなくて、シェイクスピアの戯曲の普遍性をあらためて思いました。
 マクベスも「言葉で翻弄された」と言わされていたけど、台詞にひとつひとつ力があってほんとうにすごい……
 もっとも、シェイクスピアは現代に置きかえたプランで上演された舞台を何度も観ているため(むしろ私は原作通りの時代設定の上演を観た記憶があまりない……)、単に慣れてしまっているのかもしれないのですが。女性同士の「ロミオとジュリエット」も、NTLで観たベネディクト・カンバーバッチ主演の「ハムレット」も普通に衣装は現代風だった……
 最終盤でマクベスがタンクトップとワークパンツの姿になって、マクダフとの戦闘シーンでどちらがどちらか見分けにくかったのが印象的でした。

 真偽もわからない魔女の言葉に翻弄され、権力欲に負け、小心さゆえにどんどん取り返しがつかなくなっていくマクベスにはわが国の現政権をもろに連想してしまったけれど、上演された2018年の状況と舞台上の世界を明確に重ねている演出だと思うので、ああいうムードは日本だけではないんだな……と暗い気持ちになりました。
 首を斬るあたりはISISが意識されていたのかな……マクベスが首を斬られる場面が冒頭と同じ構図で、首を斬ってビニール袋に入れる演出の残酷さがラストで効いていました。

 ところで、マクベス夫妻が子どもを亡くしているということにまったく気づけませんでした……不覚……。そういやマクベス夫人は「子どもに乳を吸わせたことがある」ってちゃんと言ってたね……

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